さよなら花火

名山レトロフト店リニューアルのお知らせ

「森のかぞく名山レトロフト店 リニューアルオープンのお知らせ」
そのやま農園直営〈農園食堂 森のかぞく〉はこれまで飲食店として営業してきましたが、10月中旬をもっていったん店内を改装し、お弁当とお惣菜を製造・販売する店へとリニューアルいたします。また、併設する〈森かぞストア〉についてはここでの営業は10月末で終了し、リニューアルする場所へ移動して、有機野菜や調味料等の一部をお弁当・お惣菜と一緒に販売することといたします
森のかぞくは平成25年に鹿児島市役所前にオープンして、令和47月で10年目に入りました。小さな有機農家が街の真ん中で飲食店をするというのは大きな挑戦でした。
私たち兄弟姉妹6人いて、有機農業で野菜作りをする両親のもとで育ちました。父の強い希望で小学校、中学校と学校給食を食べずに、母の手づくり弁当を毎日学校に持って行って食べていました。
父は自分が病気になったこともあって、農薬を使わない野菜作りを志したわけですが、当初からの課題は健康な土づくりでした。どうやったら病気や虫に強い健康な土ができるだろうか。美味しい野菜を作るにはどうすればよいか。そんなことを考えながら研究を重ね、ある程度納得がいく味に近づいてきました。
一方で、出荷できない規格外品をどうにかしないといけないという問題もあって、かねてから「イタリア料理のレストランをやろう」と考えていたようです。それが自分で書いた絵本のタイトル「森の家族」から店名をもらった〈農園食堂 森のかぞく〉のオープンにつながりました。
父の夢を乗せて走り出した森のかぞくの船出は決して順風満帆とは言えませんでした。有機農家のレストランという物珍しさもあって、連日開店前からお客様に行列を作っていただくほどでしたが、長女と三男を中心に、ランチとディナーを必死にこなす営業が続きました。規格外の野菜を使うというのは農場にしてみれば良いのですが、飲食店としては想像以上の手間がかかっていました。来店してくださるお客様に最高のお食事を出せるよう、丁寧に仕込み、準備をしていたことを思い出します。
時は流れ、隣町の姶良市で森のかぞくの2号店が立ち上がることになり、三男は新店担当になり、名山店はディナーを閉め、ランチと、併設する〈森かぞストア〉の営業を続けました。以来名山店は社員中心営業することが多くなり、かつてのような家族経営による馬力を使って長時間営業することも難しくなっていきました。
奇しくもオープンから半年でコロナ禍に見舞われました。次々と押し寄せる厳しい選択を迫られた末、レストラン業態から弁当・惣菜の製造へと転換した姶良店ですが、その結果多くの方から評価を得るようになったことが、今回の名山店の変化を後押ししました。
飲食店として、とことん合理化し、機械化・セルフ化をして続けていくという努力も必要だったのかもしれません。しかし自社の規格外野菜をできるだけたくさん使うという当初目的を果たすこと、そして、これからも食べに来てくださるお客様との触れ合いを大切にしたいという思いから、提供の仕方こそ変わりますが、今回の業態転換、リニューアルを決意しました。店内でお食事を楽しんでいただくことはできなくなりますが、より幅広い食材や料理の仕方を取り入れることによって、旬の野菜の美味しさを感じていただけるように努力をするつもりです。
これまで長らくレストラン、森かぞストアをご利用いただいた方には、この状態を継続できなかった私自身の力不足を反省し、お詫びを申し上げます。通ってきて下さるお客様なしには、経験の無かった私たちがここまで続けることはできませんでした。新たなお店の形態は、これまでとちょっと違ったNEW「森のかぞく」として、常連客の皆様にもきっと喜んでいただけるものと考えています。
今後も末永く地域の皆様にお役立ちできるよう、農場と店舗スタッフが一丸となって努力をしてまいりますので、変わらぬご愛顧を宜しくお願い致します。

農業生産法人そのやま農園株式会社 代表取締役 園山 宗光


レトロフトビル屋上よりサマーナイト花火を眺める2022年の夏。

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